−環境教育の取り組み−

広野野外施設での農作業体験学習

三学園合同 住吉川の環境学習

三学園合同の環境学習発表会

 

(一)広野野外施設での農作業体験学習

 環境教育の一環として、高二総合学習環境コース選択者(三十一名)・生物研究部部員は、甲南小学校・甲南女子中高、甲南大学と合同で、広野をフィールドとした環境教育プログフムに参加しました。(日程は表の通り)

 「広野」とは、甲南学園が所有する環境教育実践施設で、神戸市西区にあります。山林・畑・竹林・雑木林・ビオトープ・合宿場・グランドなどを有する広大なフィールドです。
 四月に甲南女子高校で合同のオリエンテーションを行い、甲南大学文学部の谷口教授から「世界の環境教育と若者の活動」についての講演、続いて研究生の渡辺りわさんから、広野での農作業についての詳しいガイダンスを受けました。
 引き続いて、四月二十七日は、夏野菜の植え付け。荒れた土地を耕し、大きな石をどけ石拾いなどの作業のあと、堆肥や肥料をすき込み、うねづくり。トマト、ナスビ、スイカ、ピーマンなどの苗を植え付けました。
 また、六月一日には田植えを行いました。広野合宿場の近くに五百平方メートルの田圃を甲南学園が借り入れ、甲南小学校四年生(六十名)、甲南女子中学生(二十名)、甲南中高校生(十五名)が、甲南大学研究生・大学院生の指導のもと、田植えを行いました。田植えと併せて、四月に植え付けた夏野菜の手入れや、恩地先生と生物研究部員による野生ネズミの捕獲生態調査もプログラムとして実施しました。

農作業体験学習
       高二 川飛 翔

 去る四月二十七日、我々甲南高校二年の総合学習「環境」選択者十五人は、神戸市西区にある広野グランドの畑へ農作業体験をしに行きました。
 まず始めに、合宿場で甲南大学の谷口教授から説明を受けました。その後、バスで畑まで移動しました。最初は何をしていいかわからなくてボーっとしていました。でもとりあえず、作業をしているとだんだんとやり方がわかってきて楽しくなっていきました。特に畑を耕す作業はシャベルを使ってやったのですが、とても楽しかったです。はじめは何もないあれた砂地にだんだんと畑ができあがって行くのを見ていると、とてもうれしくなっていキしました。そして、畑ができてから野菜の苗を植え付けて、その日の作業を終えました。とってもしんどい作業でしたが、充実した一日でした。

広野での体験
       高一 不破正登

 今回初めて広野の体験活動に参加し、様々な農作業を体験させてもらいました。広野へはバスで約一時間かけて行きました。広野へ着くとまず簡単な説明を受けた後、次に作物を植える場所へ移動しました。そこは、石などが多く、はっきり言ってこんな場所に畑を作れるのかと不安でした。最初は石拾いから始めたのですが、あまりの石の多さに愕然としながらやっていました。でも、次第に石もなくなり、次の畝づくりになると畑らしくなってきました。やり終えて、しんどかったけれども、それなりに達成感もあり、協力してやることの楽しさと大切さを改めて実感することができた一日でした。

(二)三学園合同
     住吉川の環境学習

 本校が実施している環境教育の一つの取り組みとして、三学園(甲南小学校、甲南女子中・高等学校、甲南中・高等学校、甲南大学)合同による住吉川の環境学習を実施しました。第一日目[九月十三日(金)]午後、甲南小学校講堂において、神戸市環境局減量リサイクル推進課の児玉康子さんを招いて「住吉川の環境と生き物について」と題しての講演会を行いました。その後、異年齢集団を四つのグループに班分けし、@生き物調べ班 A住吉川を詠む・描く班 B水質調査班 Cゴミ調べ班、各班ごとに事前学習を行いました。

第二日目[九月三十日(月)]早朝に甲南小学校へ集合し、住吉川で環境学習を開始しました。

@「生き物調べ」担当教員」恩地・田中(甲南中高)山本・浦本(甲南女子中高)藤田(甲南小)
 上流と下流に分かれて、それぞれ数カ所で、魚や小動物、植物などを採集し、小学校へ持ち帰りました。そのあと、植物標本の作製と、魚や小動物の名前調べとまとめの作業を行いました。
A「住吉川を詠む・描く」担当教員:山西(甲南中高)殿浦(甲南女子中高)大谷(甲南小)
朝までの雨がうそのように晴れわたった空の下、白鶴美術館のあたりまで川をさかのぼり、参加者は思い思いの自然を題材に絵を描き、うたを詠み込みました。
B「水質調査」担当教員:福井(甲南中高)中林(甲南女子中高)宮下(甲南小)
白鶴美術館のあたりから、河口付近まで、みんなで手分けしてパックテストを用いて水質調査を行いました。小学校へ戻ってから、そのデータをもとに、大きな模造紙の上にまとめて考えました。
C「ゴミ調べ」担当教員:半田(甲南中高)龍野(甲南女子中高)田畑・大崎(甲南小)各自が火ばさみを片手に、川の中や遊歩道の周りのゴミを拾い上げ、ポリ袋に分別して集めました。集めたゴミを甲南小学校のグランドで整理し、教室でゴミの分析とまとめ作業を行いました。

参加メンバー[総計:約百五十名]

甲南小学校 五年生:六十名
甲南高校二年「環境」選択者:三十名
甲南中高自治会・生物研究部:十名
甲南女子高校一年「環境」選択者:三十五名
甲南大学生/甲南女子大学生 計:五名

 昨年の十一月に引き続き、二回目の「住吉川の環境学習」でしたが、今回は特に、「住吉川を詠む・描く」など、心の環境教育にも力を入れた展開となりました。大学生が中高生や小学生を指導するなど、異年齢集団で環境学習を行いました。各学校の教員同士がティームティーチングを行う中で、生徒も教員もともに新鮮な感動を覚えました。

(三)三学園合同の
      環境学習発表会

 三学園で取り組んでいる環境学習では、三校共通の時間割「甲南タイム」を設けての「環境」の授業、甲南大学広野野外施設での田植えや野菜作りなど農作業実習、住吉川での環境学習などの「フィールドワークを行ってきました。これらの活動の発表会を十一月八日(金)に甲南女子中高等学校を会場にして行いました。本校からは前述の諸活動に参加した生徒、授業での研究成果を発表する生徒、生徒自治会の役員、そして新教科「生命と環境」に取り組んでいる中学三年生全員が参加しました。発表の概略は次の通りです。

[一]高校二年からの報告

@イノシシとの共存を考える
 発表者:荒尾耕平・大平和弘・宮尾隆行
 最近深刻化してきているイノシシと人間との関係を考え、この問題解決のためにどうすればよいか考察してみました。
A家電製品のリサイクル
 発表者:大石昌弘・竹中佑介・谷山喬昭
 我々は『家電リサイクル法とは何ぞや』をテーマにして調査し、これからの家電製品はどういった物になるべきか、等について考えました。
B校内の環境学習施設・畑とビオトープ
 発表者:若井・堂坂・斉藤・清水
 一学期には校内に畑を作り、トマトやサツマイモの栽培を始めました。二学期には本校にあった池を補修改修してビオトープに作り替えました。
C農薬及び残留農楽について
 発表者:日置友也
 最近、世間を賑わしている農薬だが、まず、農薬とは一体何かを報告します。また、輸入農産物や国産農産物の残留農薬の危険性についてふれました。 

[二]三校合同の報告

*住吉川の環境学習
 「住吉川の生き物調べ」班は、住吉川に生息ている生物を採集してどのような生物がどのような場所でとれたのかを報告しました。「住吉川を詠む・描く」班は、自然への思いを絵や詩にこめて表現しました。「水質調査」は、住吉川がどれくらい汚れているのだろうか?本当のところはどうなのだろうか?調べた結果を報告しました。「ゴミの学習」班は、上流・中流・下流・沿道にわかれてゴミを回収し、ゴミの状況から川の汚れを調べた結果を合同で発表しました。

*広野での農作業体験学習
 甲南学園が所有する広野の環境教育実践施設は神戸市西区にあり、山林、畑、竹林、雑木林、ビオトープなどを有する広大なフィールドです。四月に甲南女子高校で農作業体験に関する合同のオリエンテーションを行い、甲南大学文学部の谷口文章教授から事前指導を受けました。その後、夏野菜やサツマイモの植えつけから収穫までや、田植え・稲刈りを行いました。それらの内容や取り組みについて、三学園合同で発表しました。

「環境学習発表会」を終えて     高二 宮尾隆行

 今回我々は「イノシシとの共存」というテーマで環境学習を行いました。この学習を通して、僕たち都会生活者がいかに自己中心的であり、また自然について無関心であるか、ということにあらためて気づきました。
 また、この学習は、小学生や他の女子中高生など、普段話すことのできない人たちとのふれあいや、大勢の人の前でコンピュータを使い発表するなど、貴重な体験をすることもでき、とても有意義でした。

「環境学習発表会」を振り返って     高二 松浦智輝

 甲南高・甲南女子中高・甲南小学校の合同の環境学習発表会、僕は想像しただけで堅苦しい話を聞かされるというイメージを持っていた。しかし、実際の発表会では、それぞれの発表者やグループが、様々なテーマで興味深い発表や報告をし、面白くためになった。
 僕たちは、水の環境というテーマで、東灘の水環境センターへフィールドワークしたときの報告や色々調べたことなどを展示発表したが、それ以上に、他の人たちは、詳しいフィールドワークや専門家へのアンケートなどを行い、高校生とは思えないほどの内容で深く調べていたので驚いた。今回のような学習発表会という機会は、他の人たちが調べた事が、自分自身の知識になったということも良かったが、それ以上に、他の人たちの発表会に向けての姿勢のほうが、僕の中で印象に残った。また、自分たちの調べた展示内容が、他の人たちにも読んでもらったことがうれしかった。

「環境学習発表会」を振り返って     高二 斉藤直樹

 十一月八日に甲南女子高等学校での学習発表会に我々総合学習「環境」選択者は参加しました。各学校の代表者が、それぞれ皆の前に立ち、学習の成果を発表していた。「環境」学習選択者というだけあって、それぞれが真剣に「環境学習」にとりくんでいるようすが伝わってきた。中には、環境と言っていいのか分からないような内容のユニークな発表もあったが、みんなをあっと驚かせるような内容のものもあった。その一つが、甲南女子校の「栄養ドリンク」についての発表で、各メーカーの栄養ドリンクの違いなどを調べており、内容はともかく、発表のしかたやタイトルに興味を引かれました。また、同じく甲南女子校の「歯磨きについて」の発表は、タイトルではなくその内容に興味を持ちました。小学生はみんなで踊りや歌などを披露し、とてもかわいらしく、工夫した内容だったので心が和みました。今後もこのような発表会があったら、新しい交流も生まれ良いのではないかと思いました。

発表までのあれこれ     高二 堂坂和央

 環境学習発表会までを振り返ると、とてもしんどかったと思う。この授業を選択した理由は、釣りをして魚のことを調べようと思ったからだ。しかし、動物相手に調べることは難しいので、植物栽培について調べることにした。しかし、植物栽培は栽培で実際むずかしい事が多かった。
 まず、学校にはそもそも畑が無く、自分たちで最初から作らなければいけなかったし、夏休み中も交代で水やりに来なくてはいけなかった。結果として、トマトは夏の日照り続きで半分以上を枯らしてしまい失敗してしまった。
 サツマイモは乾燥にも耐え、秋に実際に掘り上げたときには、大きなイモがごろごろ出てきて感動した。
 様々な失敗もあったが、この半年間の研究内容をレポートにまとめ、パワーポイントで発表することができ、とても良かったと思う。来年は選択の都合でこの授業を継続してとることはできないが、我々が作った畑を誰かに受け継いでもらい、一層の結果を出してもらいたいというのが僕の一番の願いだ。

今までの環境学習で学んだこと     高二 木村慎一

 十一月八日までに学んだことは多いと思う。例えば、疑問点解決のために情報を収集してまとめ、そして発表に至るまでの過程を、自分たちのペースで取り組んでいけるのがいいと思う。これまでの情報の授業では、コンピュータを使っての情報収集だったのに対し、この「環境」学習ではフィールドワークを共有し、体感したことなども含めて発表できるので、聞き手もそれなりに聞き込んでいけるし、発表する側としてもいいことだと思った。また、パワーポイントを使っての発表、それも大人数の前での発表は個人的にも大変有意義なものであった。

「環境学習発表会」を終えて     高二 白河英大

 十一月八日の甲南女子での三校合同学習発表会に参加して、まず感じたことは、みんなとっても真剣に「環境」のことを考えているなということで、これには大変感動しました。発表はどれも興味深いものばかりで、色々な実験やフィールドワークなどとても楽しかったです。特に、自分の知らないことが多かったので、すごく聞き入ってしまいました。
 農薬の話などは、家でも役立ちそうでした。みんながあんな風に地球の環境について考えることは、とても良いことだと思いました。これからもっと多くの人たちが、自分自身のこととして環境をとらえたら、すごく住みやすい環境になると思います。

「環境学習発表会」を終えて     高二 網干聡一

 十一月八日の三校合同環境学習発表会では、甲南小学校の生徒達が六甲山についての事を劇や歌で表現したり、甲南女子や甲南大学生がクイズなどを入れて、とても楽しいプレゼンテーションをしてくれた。小学生でも、僕たちが知らないことを知っていたりするのでびつくりした。住吉川の水質やよごれについて、またそこに住んでいる生き物については、かなり詳しく理解できたが、川の未来についてなども調べていけばよいと思いました。 ぜひ、このような機会をまた作っていただきたいと思います。

広野体験学習についての発表     高二 清瀬翔平

 今振り返ると、結構楽しかったように思える。一つのことにみんなが力を合わせたことも楽しかったし、発表後も充実感があった。発表の準備作業は、前日の夜遅くまでかかり苦労した。
 広野での農作業体験について発表したが、その際には、甲南女子中学二年生と甲南小学校の五年生の生徒、そして色々と助けてもらった谷口ゼミの人たちには本当にお世話なった。終わったあとは、肩の荷が下りたと同時にどっと疲れが押し寄せてきた。けれど、やっぱり楽しかったように思う。