第4回国際保健医療行動科学会議の報告

大会長 谷口文章

 

 本年8月24日に甲南大学(神戸)において、第4回国際保健医療行動科学会議が「『健康』への統合的アプローチ」のテーマの下で開催されました。参加者数は477名という盛会で、講演、研究発表、ワークショップ、シンポジウムなど、すべてのセッションで熱のこもった討論が展開されました。

 宗像恒次会長の基調講演が全体の方向づけとなり、特別講演のEllen Hughes先生の「アメリカの統合医療プログラムの現状と展開」が最新の情報として本国際会議の推進力となりました。そのあと、Hughes先生とNancy Turner先生とのワークショップがあり、統合医療の具体的な内容が提供され厚みのあるものとなりました。とくにヒューズ先生の「ホーリスティック・ナーシングによる医療教育」のワークショップには渥美和彦先生も加わって頂き、アメリカと日本の代替・相補・伝統医療などが「統合」されることになり、大変意義深いものになりました。またターナー先生のワークショップにおいて「先住民のハーブ療法」の話題から、「生命と環境」が結びつけられ、これからの代替、相補、補完、民間、伝統医療がホーリスティックに統合され、21世紀の統合医療の姿を垣間見ることが出来まして、私たちの歩むべき道が示されたように思われます。

 3日目の二つの記念講演とシンポジウム「医療をめぐる統合的アプローチ」は圧巻でした。それらは、一般研究発表、特別講演、ワークショップ、サテライト・シンポジウムを統括するものでした。とくに谷 荘吉 先生のコーディネートの下で、柳井 勉 先生やゲストの先生方の豊富な体験と理論に裏づけられた発表とフロアーからの真剣な議論は、シンポジウムの醍醐味を示すものでした。また柳田邦男先生の「人間性への眼差し−ホーリズムの視点から−」のお話ではヒューマニスティックな医療への眼差しを知るとともに、真理アンヌ氏の「日常生活に生きるアーユルヴェーダ」のお話には貴重な体験に参加者が共鳴することができました。

 4日目は淡路島の五色県民健康村の断食道場にツアーに行きました。参加者は17名でしたが、カナダ、インド、イギリス、ロシアからの参加者があり、所長の笹田信五先生からホーリズム医療のトータルしたお話を聞くことができました。

 以上のような第4回国際会議でしたが、このような成功も会長及びゲストの先生方をはじめ、学会事務局、実行委員会の皆様、そして何より熱心に参加された皆様のお陰であります。心よりお礼を申し上げたく存じます。

 

第4回国際保健医療行動科学会議に参加して

 この度は第4回国際保健医療行動科学会議に会員として参加させていただきましてありがとうございました。おかげをもちまして、西洋医学が代替医療との統合へと試みられていること、日本の医療現場の実情、カナダやインドの伝統医療について実践的なお話などを伺うことができました。自分の経験からも東洋医療(鍼灸・漢方)によって体調の改善をし、また症状によっては手術を受けることで治癒したこともありますので、統合医療の今後の発展を心より期待しております。

菅原幸代(日本アーユルヴェーダ学会)

 

 非常に意義ある国際会議であったと思います。カナダの先住民のハーブの話も大変興味深く、それが最後は環境倫理に結びついていることを知り、勉強になりました。渥美先生のコメントでは、ハーブの有効性をどう評価するかという指摘がございましたが、それに対する谷口先生の追加コメントで、そういう視点ではなく、ハーブなどの効き目はもっと総合的にみる必要があるということが私たち会場の出席者もよく理解できました。

村岡 潔(佛教大学文学部・仏教看護コース)

 

 パネラーの先生方からは温かみのある謙虚で地道な研究交流の姿勢をあらためて学ばせてもらいました。インテグレーションやホリスティックの解釈も参加者によってさまざまな現状を知りました。今まで温めていた「日本人の心身に見合う生命科学の方法論、和学形成」を英語ネットワーキングして発表するチャレンジができました。これを機に、資料のビジュアル化や、英語発想のギャップを学び、今後の日本表現・自己表現の皮切りとさせていただきました。

まどかアッセマみちよ(南山短期大学・生命科学論/和学)

 

 発表についても、会議全体の内容からも多くのことを学ばせていただきました。最後に谷口先生が統合についてまとめてくださったことで、私自身も3日間の学びや体験を統合することができました。

玉木敦子(兵庫県立看護大学・精神看護学教室)

 

 

「日本保健医療行動科学会ニュースレター」より

 

 


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