2007年度
講  義  概  要


甲南大学
文学部
人間科学科
専門科目



 演習T・U・V

谷口文章(タニグチ フミアキ)
配当年次:3・4年次/単位:4単位
講義日時:通年 金曜日 4限

■講義の内容・目的
 人間の心の形成と環境との相互作用を研究テーマとし,人間が生まれ成長し「心」を形成していく過程で,発達段階の環境が大きく影響することを学ぶ。
 特に臨床的問題を抱えている若者を自然環境の中でケアしていくことは,心の環境浄化に関して大きな効果がある。具体的には,生きる意味を喪失した人々,人生の挫折を経験した若者,そして心の不安定な子供たちに対して,自然環境の中で「環境教育」を通じて,健全な心の環境を培っていくことを試みたい。さらに,家や地域の環境を,視覚・聴覚・嗅覚・触覚など五感を通じた快適な環境として把握する試みも行なう。例えば,色彩やフラワーアレンジメントなど,自然環境を部屋に復元する試みや,さらに広野環境教育野外施設で児童保育の指導も行う予定である。
 講義の形式は一冊の本を精読し,発表形式で行なう。その過程で,専門書を精読する力,プレゼンテーションする力,質問する力をつけていくことをねらいとする。一年に数回フィールド調査や体験実習,ゼミ合宿を行なう。また年一度海外研修旅行(中国・タイ・マレーシア・カナダのいずれか)を行なう予定である。

 哲学思想基礎論

谷口 文章 (タニグチ フミアキ)
配当年次:1年次/単位:4単位
講義日時:通年 水曜日 3時限

■講義の内容・目的
 人生の意味は何か,世界をどのように見るか,人間はどのように行為すべきかの諸問題を検討する。そのために,人生の意味,世界の見方,行為のあり方について考察する。
■講義構成
1.人生の意味:生と死,挫折と希望,愛と虚無,幸福論,老いと病い等
2.世界の見方:社会と制度,法と経済,自然と環境,言語と文化等
3.行為のあり方:精神と意志,自由と義務,行為と価値,理想と現実等

 哲学思想史

谷口 文章 (タニグチ フミアキ)
配当年次:3年次/単位:2単位
講義日時:前期 金曜日 3時限

■講義の内容・目的
 九鬼周造がヨーロッパにいたのは1921年(大正10年)から1929年(昭和4年)である。その間パリの哲学界では若い俊秀として認められ,とくにハイデッガーには高く評価されるとともに,ベルグソンにも認められた。また当時はサルトルとも交流があった。
 このように,九鬼はヨーロッパの「生」の哲学,実存哲学の中で育った研究者ではあるが,当時の彼の主要テーマであった時間論や偶然性の問題に加えて,代表作『「いき」の構造』の執筆を進めていた。九鬼は,私的にも“偶然と必然”という人生の二元的運命に翻弄されながらも,文芸論や哲学思想の研究を進めた。
本年度は,このような「九鬼哲学における哲学思想史の展開」を,美的・芸術的観点から講義をする。
■講義構成
1.人間学とは何か
2.「いき」の現象学−「『いき』の構造」を中心に−
3.博物研究−押し花(遺品)をめぐって−
4.「風流」に関する考察
5.「情緒の系図」に関する考察
6.九鬼哲学におけるカント・リッケルト・ベルグソン・ハイデッガーの思想の展開

 環境学基礎論

谷口 文章 (タニグチ フミアキ)
配当年次:2年次/単位:4単位
講義日時:通年 木曜日 4時限

■講義の内容・目的
 人間の環境は,身体と行動を介して自然環境,社会環境,精神環境が成立すると考えられる。それらの環境は,人間とは無関係に成立しているのではなく,人間と相互作用することで自己形成される。
 「自然環境」では,人間が適度に関与することで生態系が維持されている。例えば,森林の保全や農耕によって自然環境は健全なものとなる。「社会環境」では,経済活動など人間の関与が大きい。そしてその社会現象も,自己組織的にシステムが出来上がる。例えば,商品の価格も市場において自己組織的に決定される。
「心の環境」では,いうまでもなく人間自身の問題であり,それは“心のあり方”が中心となる。例えば,親子関係において,神経質の親は神経質な子どもを育てることになり,その子の心は母親のそのような性格を内化して自己形成されることになる。
 このように,主体と客体が“複雑に”相互作用することによって自己形成される「人間の多様な環境」を環境学の観点から考察していく。そのために,本年度は生態学的心理学と環境教育学の考え方を発展させる。
■講義構成
1.自然・社会・精神環境の自己生成とその展開 −システム論−
2.生態学的心理学による環境認知論 −アフォーダンス論−
3.環境教育学の理論的な枠組み−実践のための原理論−

 国際環境教育ネットワーク

担当:谷口 文章(タニグチ フミアキ),森田 三郎(モリタ サブロウ),藤川 清史(フジカワ キヨシ),西 欣也(ニシ キンヤ)
配当年次:3・4年次 単位:2単位/講義日時:前期 土曜日 1・2時限 隔週

■講義の内容・目的
 地球環境問題の解決のためには,「グローバルに考え,ローカルに活動する」ことが重要である。そのため,本講義においては,グローバルな視野から海外の環境情報や環境教育の現状について知るために,テレビ会議システムを利用し,ラジャバト=プラナコーン大学(タイ),北京大学(中国),マラヤ大学(マレーシア),環境省,国土交通省等と甲南大学を結び,リアルタイムのe−Learning(遠隔授業)を行う。それぞれの大学や機関はゲストとして,メッセージや情報を送ってもらう予定である。海外との講義は英語で行われるが,本学の学生は日本語でのコミュニケーションでもよい。なお,本講義は教職科目,学芸員科目にも充当できる。
■講義構成
第1回  オリエンテーション:「本講義が目指すネットワーク」:担当者(谷口)
第2回  環境省からのメッセージと国際環境政策:担当者(谷口,環境省きんき環境館)
第3回  地球温暖防止と国際協力:担当者(藤川)
第4回  タイにおける地球温暖化活動:担当者(谷口,藤川,チナタ・ナガシンハ:プラナコーン大学)
第5回  農業と環境:担当者(森田)
第6回  タイの農業と環境:担当者(谷口,森田,シリワット・スンダロトック:プラナコーン大学)
第7回  自然観の比較文化論:担当者(西)
第8回  国営あいな里山公園(「あいなの郷」創造活動):担当者(谷口,西,国土交通省)
第9回  中国の環境教育の政策と北京大学の環境教育:担当者(谷口,白郁華:北京大学)
第10回 タイ・中国・日本の環境教育ネットワーク:担当者(谷口,チナタ・ナガシンハ:プラナコーン大学)
第11回 マレーシアの環境教育と環境倫理:担当者(谷口,アジザン・バハルディン:マラヤ大学)
第12回 マレーシア・日本の環境教育ネットワーク:担当者(谷口,バハルディン)
第13回 まとめ−地球環境問題の解決に向けて−:担当者(谷口)
第14回 TV国際シンポジウム:担当者(谷口,白,スンダロトック,ナガシンハ)
第15回 予備日

 国内環境教育ネットワーク

担当:谷口 文章(タニグチ フミアキ),斧谷 彌守一(ヨキタニ ヤスイチ),高阪 薫(タカサカ カオル),出口 晶子(デグチ アキコ),マノジュ・L・シュレスタ(マノジュ・エル・シュレスタ),今井 佐金吾(イマイ サキンゴ)
配当年次:3・4年次 単位:2単位/講義日時:後期 土曜日 1・2時限 隔週

■講義の内容・目的
 地球環境問題の解決のためには,「グローバルに考え,ローカルに活動する」ことが重要である。本講義においては,日本においてのローカルな活動を主として学ぶ。そのために,テレビ会議システムを使用し,宮城教育大学,環境省,環境省・北海道地方事務所,国土交通省,大阪府等と甲南大学のネットワークを結び,リアルタイムでのe‐Learning(遠隔授業)を行い,各大学や研究機関で行なわれている環境教育について学ぶ。それぞれがゲストとしてメッセージや情報を送ってもらう予定である。なお,本講義は教職科目,学芸員科目にも充当できる。
■講義構成
第1回  オリエンテーション:「本講義が目指すネットワーク」:担当者(谷口)
第2回  環境省からのメッセージと国内環境政策:担当者(谷口,環境省きんき環境館)
第3回  地球環境科学と化学分析:担当者(谷口,今井)
第4回  北海道の国立公園:担当者(谷口,環境省・北海道地方事務所)
第5回  地方環境行政における環境政策:担当者(谷口,大阪府)
第6回  国営あいな里山公園(「あいなの郷」復元活動):担当者(谷口,国土交通省)
第7回  大気汚染・ダイオキシン・環境ホルモン問題:担当者(谷口,今井)
第8回  生物多様性と知的財産:担当者(谷口,シュレスタ)
第9回  宮城教育大学における環境教育:担当者(谷口,宮教大)
第10回 宮城教育大学における環境教育のアーカイヴ化の展開:担当者(谷口,宮教大)
第11回 環境・芸術文化論:担当者(斧谷)
第12回 沖縄の環境にみる伝統文化:担当者(高阪)
第13回 琵琶湖の環境民俗学:担当者(出口)
第14回 まとめ:担当者(谷口)
第15回 予備日

 環境・芸術文化論

谷口 文章 (タニグチ フミアキ) 川田都樹子 (カワタ トキコ) .西 欣也 (ニシ キンヤ).戸田 耿介 (トダ コウスケ)
配当年次:2年次 単位:2単位 講義日時:後期 水曜日 2時限

■講義の内容・目的
 「環境」というと環境問題を想いおこすが,本来,環境は生命をとりまく空間であり,すべての生命が快適に生きていく身の周りの空間のことである。したがってこの講義では,環境問題を中心とするのではなく,環境の創造,またそれを精神的に支える芸術文化論の視座から,環境・芸術文化論を展開したく考えている。
■講義構成
第1部.環境教育と環境創造
  1.オリエンテーション(谷口)
  2.環境教育から見た環境創造(谷口)
第2部.環境創造の事例と方法
  3.都市環境と緑地・里山(戸田)
  4.都市ビオトープー環境創造T―(戸田)
  5.学校ビオトープー環境創造U―(戸田)
第3部.自然・風景・文化論
  6.自然美の普遍性と多様性(西)
  7.風景と文化的アイデンティティ(西)
  8.アジア的自然観の再検討(西)
第4部.現代芸術からのメッセージ
  9.「環境芸術」における「環境」とは?(川田)
  10.「環境芸術」のはじまり(川田)
  11.「ミニマル・アート」から「環境」へ(川田)
  12.自然環境と「アース・ワーク」(川田)
  13.都市環境と「パブリック・アート」(川田)
  14.まとめ 21世紀の環境創造と芸術文化論(谷口)

 博物館学TB

担当:谷口 文章(タニグチ フミアキ),戸田 耿介(トダ コウスケ)
配当年次:3・4年次 単位:2単位/講義日時:後期 土曜日 1・2時限 隔週

■講義の目的・内容
 地域力復活,環境再生,伝統文化の再評価など,今世紀に入ってからこのような課題がクローズアップされている。
博物館という社会装置はこのような現代的な課題に対して,どのように関わりを持つのだろうか? また,実際にはどう関わっているのだろうか。
 各地にある自然・環境系の博物館を紹介しながら,生涯学習の場として市民の社会参画を下支えするその役割や実態,課題等について探っていきたい。
■講義構成
1.博物館と生態学的遺産
2.生涯学習システムの中での博物館
3.博物館の役割と機能の新たな展開(歴史的視点から)
4.博物館の役割と機能の新たな展開(現代的役割から)
5.博物館体験交流(私の見た博物館)
6.都市装置としての博物館の魅力
7.企業のCSR活動と博物館
8.拡大する博物館の概念・エコミュージアムの役割
9.ネットワーク型博物館の可能性
10.博物館と市民・NPOのパートナーシップ
11.現代社会の課題に取り組む博物館や博物館類似施設
12.博物館の評価と運営のあり方
13.市民が関わる博物館の姿とは
14.博物館学と生涯学習としての環境教育

 博物館学UB

谷口 文章 (タニグチ フミアキ),戸田 耿介 (トダ コウスケ)
配当年次:3年次 単位:2単位 講義日時:前期 木曜日 1時限

■講義の内容・目的
 地域力復活,環境再生,伝統文化の再評価など,今世紀に入ってからこのような課題がクローズアップされている。いずれも20世紀の効率主義と進歩思想によって失われた価値の再評価,再創造といえるだろう。
 博物館という装置はこのような現代的な課題に対して,どのように関わりを持つのだろうか?また,実際にはどう関わっているのだろうか。
 各地にある博物館(類似施設を含む)を紹介しながら,生涯学習の場として市民社会の実現を下支えするその役割や実態,課題等について探っていきたい。
 なお,近在の博物館の学芸員等から話を伺うことも計画している。
■講義構成
1.博物館と生態学
2.生涯学習システムの中での博物館
3.博物館と市民・NPOのパートナーシップ
4.巨艦型博物館とネットワーク型博物館
5.都市装置としての博物館の魅力
6.社会貢献としての企業博物館
7.博物館運営の新たな視点と展開
8.博物館類似施設の興隆
9.拡大する博物館の概念
10.個人コレクションの面白さ
11.博物館の評価
12.博物館と他のセクターとの連携
13.現代社会の課題と博物館の取り組み
14.博物館学と生涯学習としての環境教育


教職科目


 総合演習@(環境教育の研究)

谷口 文章 (タニグチ フミアキ),近藤 靖宏 (コンドウ ヤスヒロ)
配当年次:4年次 単位:2単位/講義日時:後期 土曜日 3・4時限 隔週

■講義の内容・目的
 環境教育は教室の知識だけでなく,フィールドにおいて知識を獲得するスキルも学ぶ必要がある。教室では見出せない子どもの個性が野外で現れる。また,環境教育を通じた活動によって「心豊かな人間性」と「問題解決能力」を培うことができる。これらを演習の中でどのようにカリキュラムを作成しトレーニングしたらよいかを学ぶ。
■講義構成
第1回  オリエンテーション:(環境教育野外施設):担当者(近藤)
第2回  環境教育に関する教材@:自然の力を生かす農業<芋掘り>(環境教育野外施設):担当者(谷口)
第3回  環境教育の意義と役割(環境教育野外施設):担当者(近藤)
第4回  環境教育に関する教材A:作物と土に親しむ<稲刈り>(環境教育野外施設):担当者(谷口)
第5回  学校における環境教育の推進,環境教育の指導を通して身についた能力と態度(環境教育野外施設):担当者(近藤)
第6回  環境教育に関する教材B<脱穀>(環境教育野外施設):担当者(谷口)
第7回  学習指導要領に見られる環境教育に関わる内容の取り扱い(本校舎):担当者(近藤)
第8回  各教科における環境教育の指導(本校舎):担当者(谷口)
第9回  環境教育に関する教材・教具,指導に関する実践事例T(本校舎):担当者(近藤)
第10回 環境教育に関する教材・教具,指導に関する実践事例U(本校舎):担当者(谷口)
第11回 環境保全の意欲増進と環境教育推進法(本校舎):担当者(近藤)
第12回 シンポジウム「パートナーシップによる環境教育の展開」(本校舎):担当者(近藤)
第13回 収穫祭<餅つき大会,エコクッキング>(環境教育野外施設):担当者(近藤)
第14回 収穫祭<餅つき大会,エコクッキング>(環境教育野外施設):担当者(谷口)
第15回 総合的な学習として行なう環境教育のカリキュラムづくり(本校舎):担当者(近藤)

 総合演習A(環境倫理の研究)

谷口 文章 (タニグチ フミアキ),近藤 靖宏 (コンドウ ヤスヒロ)
配当年次:4年次 単位:2単位 /講義日時:後期 土曜日 3・4時限 隔週

■講義の内容・目的
 環境倫理は「人間環境宣言」(ストックホルム宣言)の中でも強調されているように,環境問題解決のためのガイドラインの倫理的裏づけである。その理論的枠組みを研究するとともに,その研究内容をフィールドワークを通じて検証する。また,その学習体験を理論へとフィードバックする。
■講義構成
第1回  オリエンテーション(環境教育野外施設):担当者(谷口)
第2回  環境教育に関する教材@:自然の力を生かす農業<芋掘り>(環境教育野外施設):担当者(近藤)
第3回  学校教育における環境倫理とは何か(環境教育野外施設):担当者(谷口)
第4回  環境教育に関する教材A:作物と土に親しむ<稲刈り>(環境教育野外施設):担当者(近藤)
第5回  環境倫理にもとづいた環境教育(環境教育野外施設):担当者(谷口)
第6回  環境教育に関する教材B:<脱穀>(環境教育野外施設):担当者(近藤)
第7回  学習指導要領に見られる環境倫理に関わる内容の取り扱い(本校舎):担当者(谷口)
第8回  センス・オブ・ワンダーの覚醒を目指して(本校舎):担当者(近藤)
第9回  環境モラルと環境教育T(本校舎):担当者(谷口)
第10回 環境モラルと環境教育U(本校舎):担当者(近藤)
第11回 環境保全の意欲増進と環境教育推進法(本校舎):担当者(谷口)
第12回 シンポジウム「パートナーシップによる環境教育の展開」(本校舎):担当者(谷口)
第13回 収穫祭(餅つき大会,エコクッキング)(環境教育野外施設):担当者(谷口)
第14回 収穫祭(餅つき大会,エコクッキング)(環境教育野外施設):担当者(近藤)
第15回 総合的な学習として行なう環境倫理のカリキュラムづくり(本校舎):担当者(谷口)



甲南大学

広域副専攻科目
環境学コース


 環境倫理学

谷口 文章 (タニグチ フミアキ)
配当年次:1・2年次 単位:2単位 講義日時:前期 木曜日 5時限

■講義の内容・目的
 21世紀になって,地球環境破壊がますます進行しつつある。環境を復元するとともに,環境の保全を実行する必要性に迫られている。環境問題は,人間関係を中心とする従来の抽象的な倫理学では対応しきれない。環境問題の解決のためには,すべての生命との相互関係や世代間の倫理を含んだ広い具体的な枠組が要請されると同時に,理論的な規範を示す環境倫理学が必要とされている。本講では,種々の分野や学問における環境モラルを統括する「環境倫理学」を考察していきたい。
■講義構成
第1回 地球環境問題と現状
第2回 伝統的倫理学でどこまでカバーできるか
第3回 環境倫理「学」の要請
第4回 地球環境問題の解決のためにT−動物・植物・自然物の権利と人間の義務−
第5回 地球環境問題の解決のためにU−世代間倫理,公平な配分の正義−
第6回 環境倫理にもとづいた環境教育の展開
第7回 ライフスタイルは変えられるか
第8回 「ライフ」の三つの次元の環境認識
第9回 生命の環境−衣・食・住をめぐって−
第10回 生活の環境−衣・食・住をめぐって−
第11回 人生の環境−衣・食・住をめぐって−
第12回 環境倫理にもとづいた環境教育の実践
第13回 環境倫理にもとづいた環境教育のネットワーク化
第14回 環境倫理による価値観の転換
第15回 予備日

 環境教育の実践T

担 当:谷口 文章 (タニグチ フミアキ),高阪 薫 (タカサカ カオル),太田 雅久 (オオタ マサヒサ),西 欣也 (ニシ キンヤ),今井 佐金吾 (イマイ サキンゴ),渡邉 隆俊 (ワタナベ タカトシ),浅野 能昭 (アサノ ヨシアキ),中野 友博 (ナカノ トモヒロ),大久保 規子 (オオクボ ノリコ),高田 研(タカダ ケン)
配当年次:1・2年次 単位:2単位  講義日時:前期 土曜日 3・4時限 隔週

■講義の内容・目的
 環境教育のベースは自然環境にある。この授業では,教室での講義による環境についての知識を学んだ上で,それを実際に身体を使って体験するため,甲南大学環境教育野外施設(広野グランド)でのフィールド活動を行う。虫や植物の観察・地理調査,また自分たちで植えた野菜や米を世話することによって生命に触れながら,環境問題解決のための能力を身につける。なお,本講義では高大連携の科目でもあるので,フィールドでは教育実習的効果もねらっている。(フィールド活動・実費要,雨天決行)
■講義構成     ※この講義は隔週で開講するので,講義日に注意すること。
第1回 オリエンテーション:「環境教育実践T」が目指すもの(本校舎):担当者(谷口)
第2回 環境情報とコンピューター処理(本校舎):担当者(渡邉)
第3回 地球環境とエネルギー危機(本校舎):担当者(太田)
第4回 エネルギー消費の実習(本校舎):担当者(太田)
第5回 キャンプ入門(環境教育野外施設):担当者(中野,谷口)
第6回 イモと野菜の苗付(環境教育野外施設):担当者(谷口,中野)
第7回 地球環境と有害化学物質(本校舎):担当者(今井)
第8回 大気・水・土壌汚染(本校舎):担当者(今井)
第9回 田植え,ビオトープ(環境教育野外施設):担当者(谷口,西)
第10回 田植え,ビオトープ(環境教育野外施設):担当者(谷口,高阪,大久保)
第11回 日本の環境法(本校舎):担当者(谷口,浅野,大久保)
第12回 日本の環境行政と政策(本校舎):担当者(浅野,大久保,谷口)
第13回 自然観察の方法と夏野菜の収穫と手入れ(環境教育野外施設):担当者(谷口,高田)
第14回 自然観察の方法と夏野菜の収穫と手入れ(環境教育野外施設):担当者(谷口,高田)
第15回 予備日

 環境教育の実践U

担 当:高阪 薫 (タカサカ カオル),谷口 文章 (タニグチ フミアキ),茶山 健二 (チャヤマ ケンジ),西 欣也 (ニシ キンヤ),浅野 能昭 (アサノ ヨシアキ),中野 友博 (ナカノ トモヒロ),大久保 規子 (オオクボ ノリコ),高田 研(タカダ ケン)
配当年次:1・2年次 単位:2単位 講義日時:後期 土曜日 3・4時限 隔週

■講義の内容・目的
 環境教育のベースは体験学習にある。この授業では,教室での講義によって環境についての知識を学んだ上で,それを実際に身体を使って体験するため,甲南大学環境教育野外施設(広野グランド)でのフィールド活動を行なう。「環境教育の実践T」の授業で育てている野菜や米の手入れ,そして収穫を行う。それとともに土作りと,冬野菜の苗つけも体験する。フィールドで野菜の網焼きなど有機農業の恵みを味わう。調理も経験することで生命の循環,生命に感謝する心を養う。なお,本講義では高大連携の科目でもあるので,フィールドでは,教育実習的効果もねらっている。(フィールド活動・実費要,雨天決行)
■講義構成     ※この講義は隔週で開講するので,講義日に注意すること。
第1回  オリエンテーション:「環境教育の実践U」が目指すもの(環境教育野外施設):担当者(谷口)
第2回  芋掘りと収穫(環境教育野外施設):担当者(谷口)
第3回  稲刈り・アウトドア教育(環境教育野外施設):担当者(谷口,中野)
第4回  稲刈り・クラフト体験(環境教育野外施設):(竹細工):担当者(谷口,中野)
第5回  環境ホルモンの測定(環境教育野外施設):担当者(茶山)
第6回  脱穀(環境教育野外施設):担当者(谷口,茶山)
第7回  環境と文学(本校舎):担当者(高阪)
第8回  コメと日本文化(本校舎):担当者(高阪)
第9回  欧米における環境アクティヴィズム(本校舎):担当者(西)
第10回 森林生態系と管理(本校舎):担当者(高田)
第11回 環境保全活動と環境教育推進法(本校舎):担当者(大久保,浅野)
第12回 シンポジウム「パートナーシップによる環境教育の展開」(本校舎):担当者(浅野,大久保)
第13回 収穫祭「餅つき大会・エコクッキング」(環境教育野外施設):担当者(谷口,高阪,大久保)
第14回 収穫祭「餅つき大会・エコクッキング」(環境教育野外施設):担当者(谷口,茶山)
第15回 予備日



甲南大学

広域副専攻科目
健康科学コース


 心身論

谷口 文章 (タニグチ フミアキ)
配当年次:1・2年次 単位:2単位 講義日時:後期 木曜日 3時限

■講義の内容・目的
 心身論,つまり精神と身体は二元論か相関論かの問題を,哲学・心身医学・心理学・宗教の立場から考察する。第一に,哲学の立場から,デカルトの心身二元論の思想の流れと,現代に対する影響を述べる。第二に,精神・心理的立場から,心身相関論と東洋医学の思想について論じる。ここでは具体的に,催眠療法や箱庭療法の事例を検討する。第三に,現代における心身論の課題を臨死体験や仏教思想などを通じて,宗教的次元から考察する。
■講義構成
第1回  序論
第2回  心身論の思想的歴史
第3回  デカルトの心身二元論
第4回  心身二元の心への一元化
第5回  心身二元の身体への一元化
第6回  心身相関論
第7回  心理学的視点からの心身相関論
第8回  東洋医学的視点からの心身相関論
第9回  自律訓練法の実際
第10回 宗教における魂の問題をめぐって
第11回 アニムズムをめぐって−自然との心身の調和−
第12回 臨死体験をめぐって−死後の魂についての示唆−
第13回 宗教における魂の救い
第14回 まとめ
第15回 予備日


甲南大学
修士課程
人文科学研究科
人間科学専攻



 人間科学演習

谷口 文章 (タニグチ フミアキ)
単位:8単位 講義日時:2年にわたって 金曜日 5時限

■講義の内容・目的
 人間・環境学を中心とした本演習では,一方で人間と環境についての新しい理論を研究しつつ,他方で臨床的・フィールド的な身体的知恵を培っていく。このような理論の探求では,人間をめぐる環境倫理と生命倫理の研究が必要となる。
 そこでまず,パーソナリティと心の形成のメカニズムを明らかにする。次に,人間が地球環境の破壊をもたらした原因を追求し,環境倫理学の構築をめざす。さらに,環境の主体である生命の概念と深くかかわる医療環境や脳死・臓器移植そして癒しの諸問題を,生命倫理学の立場からとりあげる。
 また,オフ・キャンパス・アクティヴィティ(甲南大学環境教育野外施設のフィールド活動や国営明石海峡公園「あいな里山公園の創造」[国土交通省との共同研究]のような環境活動など)を通じて,人生の諸問題を解決する能力である「知恵」をみがく。さらに,例えば自然環境において身体行為を伴った環境教育をおこなうことによって,心に病いをもつ現代人を健全なものにする試みも実施する。
■講義構成
1 環境に関する古典の文献研究
2 フィールドワーク体験の研究
3 修士論文指導
■教科書
谷口文章『環境教育の哲学−環境教育学序説−』(ミネルヴァ書房)
■担当者から一言
 人間と環境をめぐる生命倫理学も環境倫理学も,さらに環境教育学も基本的には応用哲学の分野です。したがって現代社会の身近で具体的な諸課題を理論化して取り上げるつもりです。

 人間・環境学特論

谷口 文章 (タニグチ フミアキ) 
単位:2単位 講義日時:後期 木曜日 2時限

■講義の内容・目的
 「人間」については,まず,人間の全体像の生成について考える。人間の精神と心の形成は自己関係を基本とする。しかしながら自己関係における「自己の確立」を考察すると,現代社会では自我の確立どころか自己概念の把握も充分ではなく,現実に浮遊した「自分」が散在している傾向がある。そのために自己の再確立をめざして哲学的・心理学的レベルで人間の全体像を環境との関係を通じて分析する。言うまでもなく人間の形成には,自己関係だけでなく,自他関係が必要である。この場合の「他」を他人でなく「環境」にまで拡張する必要がある。
 したがって,「環境」学に関しては,各生命主体において他者としての“環境のリズム”と自己としての“内的リズム”が合致する方法を検討する。つまり,人間の全体的能力を発揮するために外界と内界のリズムが一致しなければ,人間が健全な状態で生きていくことはできないからである。
 こうして,人間の形成を自己関係(精神・心の形成)と自他関係(人間と環境の相互作用)の視点から明らかにした上で,地球環境問題の方向づけを考察する。つまり,そのような全体的な人間像のみが,環境主体として正面から環境問題に立ち向かっていけるであろうからである。
■講義構成
1.現代の人間像
2.関係をめぐる環境システム論
3.21世紀における人間と環境の検討
■担当者から一言
 今年度は,認知心理学が中心となります。ギブソンの認知心理学をどのように生態学的に適用するかを示すことができればよいと考えています。

 環境教育学特論

谷口 文章 (タニグチ フミアキ)
単位:2単位 講義日時:前期 木曜日 2時限

■講義の内容・目的
 地球環境問題を解決する方策の一つとして,環境教育が推進される必要がある。しかし,従来,環境問題のテーマが外の「自然環境」や「社会環境」の破壊に焦点が合わされてきたことも事実である。現在の社会状況を考えると,さらに「精神や心の環境」の問題にまで,環境教育のテーマは拡張されねばならない。
 「環境教育」は,学校教育で近年盛んにおこなわれてきている。しかし,それは総合的学習という性格を有するため,指導者個人個人において異なる方法論で実施されている。子どもの可能性を伸ばす意味で「総合的な学習の時間」は,一方において可能性を秘めた魅力的なものでありつつも,他方において評価や内容に関して方向づけが十分でない。そのために,理論的枠組みを与える「環境教育学」の確立が望まれる。それは,環境教育に関しての哲学であり,環境教育に関しての教育原理である。
 さらに,Think globally, act locallyといわれるように,地域的な環境活動とともに,e‐ラーニングによる地球規模の環境教育ネットワークを拡げることも経験したい。タイのプラナコーン大学か中国の北京大学ともリアルタイムに結びつけて講義をする予定である。
■講義構成
1.環境教育学の展望
2.「総合的な学習の時間」と生涯学習−環境教育学の具体的展開−
3.国際的環境教育の動向と地域における環境教育
4.環境教育の国際的ガイドラインの構築
5.環境教育の国際・国内ネットワーク化
■担当者から一言
現在までの講義内容をまとめて,環境教育学の確立をめざしたいと考えています。子どもや花・動物の好きな人は大歓迎です。講義の中に多く出て来るでしょう。

 国際環境ネットワーク

担当:谷口 文章(タニグチ フミアキ),森田 三郎(モリタ サブロウ),藤川 清史(フジカワ キヨシ),西 欣也(ニシ キンヤ)
配当年次:3・4年次 単位:2単位  講義日時:前期 土曜日 1・2時限 隔週

■講義の内容・目的
 地球環境問題の解決のためには,「グローバルに考え,ローカルに活動する」ことが重要である。そのため,本講義においては,グローバルな視野から海外の環境情報や環境教育の現状について知るために,テレビ会議システムを利用し,ラジャバト=プラナコーン大学(タイ),北京大学(中国),マラヤ大学(マレーシア),環境省,国土交通省等と甲南大学を結び,リアルタイムのe−Learning(遠隔授業)を行う。それぞれの大学や機関はゲストとして,メッセージや情報を送ってもらう予定である。海外との講義は英語で行われるが,本学の学生は日本語でのコミュニケーションでもよい。なお,本講義は教職科目,学芸員科目にも充当できる。
■講義構成
第1回  オリエンテーション:「本講義が目指すネットワーク」:担当者(谷口)
第2回  環境省からのメッセージと国際環境政策:担当者(谷口,環境省きんき環境館)
第3回  地球温暖防止と国際協力:担当者(藤川)
第4回  タイにおける地球温暖化活動:担当者(谷口,藤川,チナタ・ナガシンハー:プラナコーン大学)
第5回  農業と環境:担当者(森田)
第6回  タイの農業と環境:担当者(谷口,森田,シリワット・スンダロトック:プラナコーン大学)
第7回  自然観の比較文化論:担当者(西)
第8回  国営あいな里山公園(「あいなの郷」創造活動):担当者(谷口,西,国土交通省)
第9回  中国の環境教育の政策と北京大学の環境教育:担当者(谷口,白郁華:北京大学)
第10回 タイ・中国・日本の環境教育ネットワーク:担当者(谷口,チナタ・ナガシンハ:プラナコーン大学)
第11回 マレーシアの環境教育と環境倫理:担当者(谷口,アジザン・バハルディン:マラヤ大学)
第12回 マレーシア・日本の環境教育ネットワーク:担当者(谷口,バハルディン)
第13回 まとめ−地球環境問題の解決に向けて−:担当者(谷口)
第14回 TV国際シンポジウム:担当者(谷口,白,スンダロトック,ナガシンハ)
第15回 予備日
■担当者から一言
甲南大学が世界へと環境教育の情報を発信するフォーカル・ポイントの大学として本講義は展開されます。

 国内環境ネットワーク

担当:谷口 文章(タニグチ フミアキ),斧谷 彌守一(ヨキタニ ヤスイチ),高阪 薫(タカサカ カオル),出口 晶子(デグチ アキコ),マノジュ・L・.シュレスタ(マノジュ・L・.シュレスタ),今井 佐金吾(イマイ サキンゴ)
配当年次:3・4年次 単位:2単位  講義日時:後期 土曜日 1・2時限 隔週

■講義の内容・目的
 地球環境問題の解決のためには,「グローバルに考え,ローカルに活動する」ことが重要である。本講義においては,日本においてのローカルな活動を主として学ぶ。そのために,テレビ会議システムを使用し,宮城教育大学,環境省,環境省・北海道地方事務所,国土交通省,大阪府等と甲南大学のネットワークを結び,リアルタイムでのe‐Learning(遠隔授業)を行い,各大学や研究機関で行なわれている環境教育について学ぶ。それぞれがゲストとしてメッセージや情報を送ってもらう予定である。なお,本講義は教職科目,学芸員科目にも充当できる。
■講義構成
第1回  オリエンテーション:「本講義が目指すネットワーク」:担当者(谷口)
第2回  環境省からのメッセージと国内環境政策:担当者(谷口,環境省きんき環境館)
第3回  地球環境科学と化学分析:担当者(谷口,今井)
第4回  北海道の国立公園:担当者(谷口,環境省・北海道地方事務所)
第5回  地方環境行政における環境政策:担当者(谷口,大阪府)
第6回  国営あいな里山公園(「あいなの郷」復元活動):担当者(谷口,国土交通省)
第7回  大気汚染・ダイオキシン・環境ホルモン問題:担当者(谷口,今井)
第8回  生物多様性と知的財産:担当者(谷口,シュレスタ)
第9回  宮城教育大学における環境教育:担当者(谷口,宮教大)
第10回 宮城教育大学における環境教育のアーカイヴ化の展開:担当者(谷口,宮教大)
第11回 環境・芸術文化論:担当者(斧谷)
第12回 沖縄の環境にみる伝統文化:担当者(高阪)
第13回 琵琶湖の環境民俗学:担当者(出口)
第14回 まとめ:担当者(谷口)
第15回 予備日
■担当者から一言
地域連携の科目でもあり,甲南大学からe‐Learningによって全国に発信したいと予定しています。


甲南大学
博士後期課程
人文科学研究科
人間科学専攻



 現代思想特殊研究V

谷口 文章 (タニグチ フミアキ)
単位:2単位 講義日時:後期 木曜日 1時限

■講義の内容・目的
 現代思想の大きな領域を占める「環境思想」について考察する。そのために,環境学と環境教育学の原理論を検討する。まず,環境学についての研究は,英語ではEnvironmental Studies といわれるように複数の学問領域にわたることが示唆される。もし単数ならEnvironmental Science という環境科学となろう。それに対して「環境学」は,複数の領域の学を統合する原理論ということになる。したがって,地球環境問題は環境学の総合的視点から検討されねばならない。
 次に,環境教育学は,内面的に心豊かな子どもを育てるとともに,外面的に循環型社会を実現する実行力のある子どもを育てることを目的とする。そこで「環境教育学」は,心の環境を健全なものにする理論的枠組みを与えるとともに,実践的な問題解決能力を培う臨床教育の哲学ということになる。
 こうした二つの領域をめぐる環境思想を考察する予定である。
■講義方法
ノート講義,フィールドワーク
■講義構成
1.環境学の確立に向けて
2.環境教育の哲学のために
3.国際環境ネットワークの構築
■参考書・資料
谷口文章『環境教育の哲学−環境教育学序説−』(ミネルヴァ書房)
■担当者から一言
受講生の興味のあるテーマから,講義を進める予定です。