環境ボランティア活動

 甲南大学環境教育野外施設で栽培した無農薬のサツマイモを寄付するために淡路島にあるモンキーセンターに行きました。この淡路島モンキーセンターには約30年前から奇形を持ったサルが現れ始めました。原因は小麦や大豆などの餌の残留農薬の影響ではないかと考えられています。このような現象を知り、谷口研究室はこのような奇形がサルに現れているということは、同じ食べ物を食べている人間にもいつかこのような影響が現れるのではないか、と考え調査に行きました。それ以来、20年の付き合いとなっています。
 寄付したサツマイモは無農薬栽培したもので、量はダンボール箱4つ分、約100kgです。
 ここにいるサルは餌付けされていますが、完全でな餌付けではありません。サルたちの住む森の中にたくさんの木の実ができる秋になれば、サルたちは餌を十分に自給できるため2週間に一度程しかモンキーセンターに下りてこないそうです。

 このように完全に餌付けしていないことによって、サルたちを野生に戻すことができます。それは、自給することによって森のどこに餌があるのかをサルが知っているからです。

 今年は15頭のサルが生まれました。そのうちの3頭に奇形が見られました。毎年15〜20%の割合で奇形が生まれているそうです。毎年、餌は農薬を使わないものを作ったり、寄付してもらっているのそうです。それ以外の餌はサルにほとんど影響の無い種類の農薬を少量使用したものを与えているのですが、奇形の出生率は低下しないそうです。
 淡路島モンキーセンターで見られている奇形サルの症状は手足に集中しています。5本以上指がある
ミラーフット、指の本数が少ない欠指、指と指が合わさった合指、指が裂けている裂指、他にも手首・足首から先が無いサルもいました。実際に奇形サルを見ると、なんとも言えない気持ちになり、最初にかわいそうと感じました。しかし、これらの奇形の原因が残留農薬ならば、奇形ザルを産み出す原因は人間になります。人間が加害者であるのに被害者のサルに対してかわいそうというのは変な気がしました。今回の見学で人間の生きる姿勢、命の尊さについて考えさせられました。

 奇形のサルたちの生活を見てみると、他のサルたちに見守られて暮しているように感じられます。ボスの横や群れの中心にいて遊んでいても怒るサルはいませんでした。このように奇形のサルは母ザルにだけでなく、群全体に守られて生活しているようです。これは淡路島のサルの群れの特徴で、他の地域ではみられない現象だそうです。

 奇形のサルも他のサルと変わらずノミ取り
グルーミングをしたり、遊んだりする様子が見ることができました。モンキーセンターのサルの群れは強いものが弱いものを助けるという福祉社会ができあがっていると考えることができるのではないでしょうか。
 また、初代センター長の中橋実さんに、開園からしばらくして、奇形のサルの原因を解明するために立ち上がったいきさつや、サルの社会から「ともに生きる」ことの大切さを学んだ、といった貴重な体験を聞くことができました。

欠指の子サル

グルーミング

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